サウンドデザイン


「そうだ京都、行こう。」JR東海

「そうだ京都、行こう。」。これは1993年から始まった某鉄道会社のTVCMのキャッチフレーズ[太田恵美(コピーライター)]です。このTVCMを通じて約20年間もの間、春・夏・秋・冬の京都の良さを時代背景を表すキャッチフレーズと共に伝えられてきました。1997年初夏の詩仙堂編では「ある日突然戦うのが嫌になりました。花や虫たちと暮らすことにしました。」と、『武士』から『文人』に転身した石川丈山(いしかわじょうざん、1583年生)も闘いのストレスに悩まされたのかも知れませんね。そこで、わずか15秒のCMの中で唯一気になる音がありました。カコーン♪そうです「鹿威し(ししおどし)」です。

ランドスケープ(光の風景)とサウンドスケープ(音の風景)

着目したいのは『光景』と『音』のバランスです。21世紀の今日の技術においては、この「鹿威し」の竹筒を音響設計して最上の音色を創ることができます。しかしながら、丈山だけなく当時の方々は、ふすまを開けて和室から眺める視覚だけの風景に一つアクセントを取り入れたかったのではないでしょうか。そこで『音』だったのでしょうね。お寺には、鳥や蝉の鳴き声、床を踏む足音や床が軋む音、そして熊手を使っての庭の砂利の手入れ等、情景が浮かんできませんか。これらの音は不規則なリズムを刻む一方で、「鹿威し」は規則正しいリズムを刻みます。きっと、心を落ち着かせる効果があったのかもしれませんね。

動物は空間認知力(Spatial Perception)が優れている

ところで、この「鹿威し」は庭に動物を近づけない役目を持っているようです。厳しい地球環境で生きるために身近な動物には外敵から身を守るために感覚器官が発達しています。例えば、馬の耳はご主人様の命令に従うために耳を動かすことができ、またフクロウについては目の横に非対称性の両耳で3次元空間をとても繊細に獲物の位置を特定できると言われています。動物は人間と違い器用に道具を創ることができないため、こうした聴覚を使った360°の空間認知力が優れているのでしょう。

一方、創造性の有する人間は、この繊細な情報が含まれている360°の音空間で、安らぎを感じ、災害から身を守り、物質の質感を知り、花火の大きさや距離を知り、また調理の音から美味しさを楽しむなど、音を様々な役割として捉えています。

さて、これまでに、カディンチェではこのような360°の空間を撮影したPanoPlazaを展開してきました。これはギガピクセル・パノラマと呼ぶ高精細なパノラマ画像によるもので、360°の空間を自由に移動することができます(ギガピクセル・パノラマについての説明はこちら)。PanoPlazaはまた同時にあらゆる音を360°空間に貼り付けることもできますので、アピールしたいお店や綺麗な風景などに併せて、360°の空間を視覚と聴覚(サウンドデザイン)で雰囲気創りの演出をしてみてはいかがでしょうか。

おわりに

これまでカディンチェは画像の空間表現技術の探究に基づきPanoPlazaを開発してまいりましたが、(空間表現技術の比較はこちら)、カディンチェは引き続き自然環境に近い統合メディアについて検討を行ってまいります。

akihiko arimitsu


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