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ITベンチャーにとっての海外スタートアップイベント参加

2012
12

Startup Asia, Echelon, ICT Spring, & Open Web Asia

2012年はカディンチェ・Panoplazaにとっては、海外スタートアップイベントによく参加した年になりました。
・2012年2月: Startup Asia (シンガポール) プレゼンテーション+デモブース
・2012年6月: Echelon (シンガポール)デモブース
・2012年6月: ICT Spring (ルクセンブルク)プレゼンテーション+デモブース
・2012年12月: Open Web Asia (中国・海南島)プレゼンテーション
いまだにアメリカでのイベントに参加したことがないのは問題ですが、少なくともアジアやヨーロッパでは多少の経験も得られたので、日本発ITベンチャー企業にとっての海外スタートアップイベント参加について考察してみたいと思います。ちなみにイベントによっては、デモブースだけの出展ではあまり効果が出ないケースもあるかと思うので、プレゼンテーションにこだわるのも良いかと思います。

自社(サービス)の広報

ベンチャー企業にとっては、自社や自社サービスの対外的露出を上げることは販売や広報という視点から重要です。B2Cのビジネスであればより多くの潜在的ユーザに知ってもらう必要があるし、B2Bビジネスであればより多くの顧客候補との接点が必要になります。したがって、大衆の前でプレゼンテーションを出来るということは大変貴重な機会になります。また、こういった海外スタートアップイベントではメディアの方も参加しており、イベントについて記事を書かれることも多く、会場での直接的な露出だけでなく、後日メディアを通した露出というのも期待できます。

これらの海外イベント参加の費用対効果を考えてみましょう。開催地にもよりますが、参加費はだいたい3万円程度で、渡航費・滞在費は1人当たり約15万円、1社1名で参加した場合にはだいたい20万円弱の費用がかかります。一方で、日本国内のベンチャーや業界向けの雑誌等に広告記事を掲載する際には大体1ページ40-50万円したり、日本国内のイベントに参加した場合は30-50万円は最低でもかかってしまいます。日本のベンチャー企業の多くは日本マーケットを対象とするビジネスをされているので、国内での露出を増やすために国内メディアや国内イベントに投資するのは正当でしょうが、少し視点を変えて、海外で発表してそれを逆輸入して日本での露出を上げるという、凱旋的広報も手段の1つになるのではないかと思っています。

自社サービスのオリジナリティの客観的考察

他社との競争をすることで、自社をもっと知られるという効果もあります。海外のイベントではなおさらで、会う人会う人「お前はどこから来たのだ?何をしているのだ?」と聞かれるので、客観的に自分たちを見つめ直す機会になります。また、国によって流行っているサービスも異なり、日本や韓国などはネットワーク常時接続を前提としたサービスが、その他の地域ではネットワークにあまり依存しないサービスが流行っていたりします。おおざっぱな言い方をすると、日本などはインフラとしても消費者としても先進国であり、その他各国が数年後に経験することを先取りして経験をしているということからも、最先端として注目を集めます。

ただ、最先端であるサービスが経済的にも儲かるサービスという訳ではありません。中国や東南アジアの一部では、アメリカで流行ったサービスのコピー版がもっとも成功していたりします。この場合、起業家に必要なのはクリエティビティではなく、いかに良いものを素早く・完成度高くコピーできるかということになります。こうなってしまうと起業家にはオリジナリティを追求するモチベーションが減ってしまい、類似サービスがたくさん出てくるというツマラナイ状況になってしまいます。

マーケティングリサーチ

海外イベントに参加すると、自然にその国や周辺国での展開可能性についても考察してしまいます。自分たちが提供するサービスがその国で受け入れられるかというのは、イベントへの出展の正否にも繋がる訳で、その国でのネットワークインフラ、消費者環境、ビジネス状況等を考察しながらの参加になります。また特にアジアでのイベントにおいては、各国のビジネス環境の比較等は良く議題にあがる話題であり、それ自身が良質なマーケティングの第1歩になったりします。

また、同時に東京や日本が如何に恵まれたマーケットであるかを知る良い機会にもなります。購買力のある多くの人間や企業が集中しており、ユーザの多くが新しい物好きだったりします。先日の海外イベントで学んだのですが、オンラインゲームやスマートフォンアプリケーションに対して最もお金を使っているのは日本人であり、その規模はその他アジア各国の群を抜いています。また、そういったマーケット環境にあり、かつ以前よりテクノロジーに強い人が多い日本では、ベンチャー企業の多くが良質なのではと感じました。世界のイノベーションの中心がシリコンバレーだとしたら、アジアのイノベーションの中心は東京になれるのではないかと思ったくらいです(特に最近はGreeやDeNAの存在感が大きいですね)。

まとめ

以上のように今年の海外スタートアップイベント参加で学んだことをまとめてみました。ここで敢えてスタートアップイベントと述べたのは、スタートアップイベントを卒業した企業は、個別具体的なテーマを掲げているその他のイベント(広告系ならAdtec、家電系ならCESなど)に参加する方が良策かもしれないからです。弊社はまだそのようなテーマを絞り込んだイベントへの出展は行えておらず、場合によってはテーマ特化型のイベントの方が費用対効果は高いかもしれません。このあたりのテーマ特化型イベントや、アメリカでのイベントへの参加は今後の課題としてあげておきたいと思います。

Open Web Asia 2012でのプレゼンを終えた、中国海南島のホテルの部屋より
soko aoki

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