【VRアトラクション「老婆の呪面」メイキング】

11.8.2019

VRアトラクション「老婆の呪面」メイキング

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VRお化け屋敷アトラクションである「老婆の呪面」は当社(カディンチェ/ミエクル)としては初めてのロケーションベースVR作品になりました。その企画は約1年前から始まったのですが、本ページでは開発に用いた各種手法をご紹介します。

「老婆の呪面」概要

本アトラクションは、2019年7月20日(土)から9月1日(日)迄、東京タワー地下1階タワーホールにて、バーチャル(VR)とリアル(ウォークスルー)のホラー体験が一度で体験できる「ハイブリッドお化け屋敷」として公開しているもので多くのお客様にお楽しみ頂いております。本ページではそのVRコンテンツの部分の開発手法についてご説明します。製作委員会は松竹(株)、ミエクル(株)、制作協力:(株)松竹撮影所、松竹ショウビズスタジオ(株)、(株)闇、プロデュース:松竹(株)富田剛史氏、演出:(株) 頓花聖太郎氏という構成になります。

ストーリー・脚本

ストーリーは松竹お化け屋本舗の富田プロデューサーと、ホラー×テクノロジー「ホラテク」で新しい恐怖体験を作りだすことが専門な闇の頓花ディレクターにより書かれ、以下のような物語になっています。

この地に古くから伝わるお面、「ハギトリの呪面(じゅめん)」。そのお面は殺された人間の顔で作られていた。そして、このお面をかぶると殺されてお面となった者の最後に見た光景が見られるという。あなたはこのお面を興味本位でかぶってしまった。気がつくとあなたは、古い家屋の囲炉裏の前に座っている。障子の向こうから現れた恐ろしい老婆は、血のついた出刃包丁を持って、ゆっくりとあなたのもとに近づいてくる。老婆のそばに、小さな子どもがいる。子どももまた、恐ろしいお面をつけている。子どもが、あなたの顔を見てこう言う。「お顔を、ちょうだい」

イントロムービー:180度ステレオ動画映像

VRコンテンツの冒頭は、コンテンツへの誘導として180度ステレオ動画を使用しました。撮影は松竹撮影所(京都)のオープンセットで行い、役者さんにも出演いただきました。カメラはInsta360 Pro2を使用しました。薄暗い180度ステレオ動画を用いて、体験者を物語の舞台である古い日本家屋に誘います。

3D仮想空間:フォトグラメトリー

物語の舞台である古い家屋は、これも撮影所のオープンセットを活用し、フォトグラメトリーを用いて3Dモデルとして作成しました。フォトグラメトリーでは、実際の家屋内を様々な角度から撮影し、それら多量の静止画像を解析・統合して、3Dのデータとして構築する手法で、今回のプロジェクトではReality Captureというソフトウェアを用いました。最近のフォトグラメトリーの精度はとても高くなってきているのですが、それでも小物があるところなどの細部では画質劣化が生じたものの、お化け屋敷=暗い環境にするという本プロジェクトの特性もあり、そのような劣化は目立たなくできたかと思います。

登場人物(お化け)のCGとモーション:モーションキャプチャ

空間ができあがれば、あとはそこで動き回るキャラクター制作になります。登場するキャラクターのCGは3D CGソフトウェアを用いて作成をし、その3Dキャラに動きをつけます。アニメーションやゲーム開発の世界ではモーションも一つ一つ手作業で作成する場合も多いようですが、我々のチームでは役者さんに協力を頂けたということもあり、実際の役者さんの動きをHTC VIVE + VIVEトラッカー + Orionを用いて計測して、そのモーションをキャラにあてるようにしました。

アクチュエーション:スピーカー・ファン

施設での体験型アトラクションであるので、HMDさえ持っていれば家でも体験できるということ以上の演出を実現したいわけです。そこで本アトラクションでは、体験者に座って頂く椅子や施設内の壁に工夫をこらして、映像内の体験に合わせて椅子が揺れたり風が吹いたりするようになっています。
システムとしては映像の再生タイムラインに合わせて、椅子を揺らす振動スピーカーや風を起こすファンのアクチュエーションコマンドをタイミングよく発火するようにしています。マルチモーダルな体験を味わって頂ければと思います。

インテグレーション

実際のアトラクションでは、VR体験ゾーンが2部屋に別れており、それぞれ6名ずつ体験できます。6名のHMDは各部屋に設置したタブレット端末から制御されており、すべてのHMDが同期をとるようになっています。先に記載したとおり、映像、音、アクチュエーションはタイムラインベースで同期を取られており、すべての体験者が同時にVR内のイベントを体験できるようになっています。

キャラクターのCGや、背景音・効果音などはそれぞれ専門のパートナーさんに制作頂き、複数社の連携により本VRアトラクションが完成しました。2019年9月1日まで東京タワー地下一階にて体験いただけますので、ぜひ体験頂きながらこちらでのメイキングの様子も参考にして頂ければと思います。

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