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Digital HealthにVR酔いの研究成果が掲載されました

2026年2月

本研究では、ヘッドマウントディスプレイを用いた没入環境下で、視覚刺激の提示範囲(中心視・周辺視)が姿勢制御にどう影響するかを検証。実験の結果、全画面および周辺視野への刺激が身体のふらつきを増大させ、強い映像酔いを誘発することが確認されました。

カディンチェ株式会社では2020年より東京大学医学部の住谷昌彦先生らと、VR(Virtual Reality)を利用した各種医学・医療応用の共同研究を行っております。2022年度からはJST CREST Internet of Realities の共同研究者も加わり、ウェアラブルデバイスを通じた肉体・精神の侵襲性による影響と脅威を医学的に検証しています。そしてこのたび共同研究として取り組んできた VR酔いの研究成果が以下の通り学会誌に掲載されたことをご報告いたします。

著者:Yuko Otake, Akira Kanaoka, Soko Aoki,Michihiro Osumi, Takuro Yonezawa, Masahiko Sumitani
タイトル:Optical flow visual stimuli inducebody sway and visually-induced motion sickness in virtual reality system: Apreliminary study
掲載先:Digital Health Volume 12
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/20552076261420289

以下、研究概要の日本語訳を掲載します。

研究概要:VRにおける視覚刺激が身体動揺と映像酔いに与える影響

本研究では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた没入型VR環境において、視覚情報の提示範囲(中心視と周辺視)が映像酔い(VIMS)や姿勢制御にどのような影響を与えるかを調査しました。

【背景と目的】

VR技術において映像酔いは未だ解決されていない課題です。研究チームは、安定して立っている状態で視覚運動刺激(オプティカルフロー)を提示し、視野の制限が身体のふらつき(感覚運動の不一致)にどう関与するかを分析しました。

【研究の方法】

27名の健康な被験者を対象に、HMDでプラッド運動(格子状の動き)の視覚刺激を提示する実験を行いました。刺激の提示条件は以下の4つです。

全画面(Full-screen)
中心視野のみ(Center)
周辺視野のみ(Periphery)
刺激なし(Natural)

評価には、重心動揺計を用いて足圧中心(COP)の移動距離や面積などの空間・時間的なデータを計測したほか、主観的な映像酔いの程度も調査しました。

【結果と考察】

全画面提示の影響: 全画面で視覚刺激を与えた場合、COPの測定値が有意に悪化し、主観的な映像酔いも強く誘発されました。
視野範囲による違い: 中心視野のみの条件では、全画面時と比較して姿勢の安定性が保たれていました。しかし、周辺視野のみの条件では、全画面提示時と同程度の身体動揺が確認されました。
条件間の有意差: 「刺激なし・中心視・周辺視・全画面」の各条件間で、身体動揺と主観的な酔いの双方に明確な差が見られました。

【結論】

オプティカルフロー刺激は身体の動揺を誘発し、姿勢制御における感覚運動の不一致を引き起こすことが確認されました。特に、VR環境における姿勢の不安定性や映像酔いには、中心視野よりも周辺視野からの情報が強く寄与している可能性が示唆されました。

VR x 医療応用の事例について、当社では以下のような事例も発表しておりました。
VRがんピアサポート:https://www.kadinche.com/news/20230419-jams
VR下肢幻肢痛システム:https://www.kadinche.com/service/vr-phantom-limb-pain

人間が感じる痛みには、発生メカニズムに基づき「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「痛覚変調性疼痛」の3分類があると言われています。そのうちの痛覚変調性疼痛は組織や神経に明確な原因がないにもかかわらず、慢性的なストレスや脳の機能異常により痛みを感じる状態だそうです。VRなどのデジタルセラピューティクス(デジタル治療)では、視覚等を通してこれらの痛みや不調にアプローチできる可能性があると世界的にも研究が進んでいます。当社では、引き続きVR技術の医学・医療用途の応用研究を継続していきます。

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