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VRとARとMRの違いについて

2021
9

Virtual Reality (VR)、Augmented Reality (AR)、Mixed Reality (MR)、Extended Reality (XR)の特徴や違いについて解説します

Virtual Reality (VR)、Augmented Reality (AR)、Mixed Reality (MR)、Extended Reality (XR)について

最近、TVや各種メディアでもよく取り上げられるVR(Virtual Reality)ですが、このVRと似た様な技術にAR(Augmented Reality)とMR(Mixed Reality)があります。これらの技術はどのように違うのでしょうか。各技術の概要と代表製品を取り上げその可能性について紹介いたします。またこれらの技術は総称して、XR (Cross Reality、eXtended Reality)と呼ばれます。

VR(Virtual Reality : バーチャルリアリティ)とは

VRとはコンピュータ上に人工的な環境を作り出し、時間や空間を超えてそこにいるかのような感覚を体験できる技術で、日本語では「人工現実感」あるいは「仮想現実」と呼ばれます。VRを実現する為に、VR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いることが多く、HMDを被ると実世界は見えなくなるのが、ARやMRとの違いです。バーチャル(仮想)という言葉が、CGや「架空の世界」を連想させますが、空想の世界を作り上げ体験することだけが、「バーチャルリアリティ」ではありません。「バーチャルリアリティ」という言葉は、「バーチャル(仮想)」も含めたあらゆる空間表現を、「まるで現実(リアリティ)であるかのように」体験するための技術や取り組みの総称だと、私たちは捉えています。作り込まれた「バーチャルリアリティ」がなんであれ、ユーザーが「まるで本物の世界」のように、体験し、行動することができるのが、「バーチャルリアリティ」の本質です。

HMDの操作は、手で持つコントローラもしくは手のみの動きを通して、HMD内に表示されるメニュー選択等を行います。HMDには3DoF(Degree of Freedom)と6DoFの2種類があり、3DoFではユーザは歩くことができずにその場で上下左右を見回したり、頭を傾けられます。6DoFでは、3DoFに加えて、前後左右に歩け、しゃがんだりジャンプもできます。

当社における事例:「VRデビルマン展」基盤機能開発VR技術を用いたがん患者さん向けピアサポート
市販品の例:Oculus Quest2HTC VivePlaystation VR

AR(Augmented Reality : 拡張現実)とは

ARとは、現実空間に付加情報を表示させ、現実世界を拡張する技術のことをいいます。VRは現実世界とは切り離された仮想世界に入り込みますが、ARはあくまで現実世界が主体です。後述するMRも包含する概念になりますが、現実世界と仮想世界を両方活用することで、現実世界に新たな価値を付加できるようになります。ARではMRとは違って現実世界の形状情報、3次元情報等は認識せずに、カメラ画像にデジタルコンテンツを重畳して表示する手法が主流になっています。最近では、スマホでもヘッドマウントディスプレイでも現実空間の平面認識や3次元スキャンをできるようになってきたことで、単純なARは減ってきているかもしれません。

当社における事例:歌舞伎AR/MRアプリ Reverse Realityの開発zSpaceの販売代理店
市販品の例:Google 「Glass Enterprise Edition 2」

MR(Mixed Reality : 複合現実)とは

MRは複合現実と呼ばれ、現実世界にCGなどで作られた人工的な仮想世界の情報を取り込み、現実世界と仮想世界を融合させた世界をつくる技術です。MRの世界内では、仮想世界のモノと現実世界のモノが相互に影響します。ARとの大きな違いは、MRでは、現実空間の3次元形状を認識することで、デジタルなオブジェクトを現実空間の地面や机上に置いたりと、空間を認識していることが挙げられます。また物理的なコントローラではなく、手のジェスチャー操作を実現していることもあります。

市販品の例:Microsoft Hololens2Magic Leap Oneなどのヘッドマウントディスプレイが代表的な市販品MRデバイスですが、最近ではスマホにもLiDAR等の奥行き検出センサーが搭載されることで、スマホでもMR的な機能が実現されつつあります。

VR・AR・MRの可能性

VRやMRは2025年までに現在のデスクトップPCと並ぶ巨大市場へと成長する可能性を秘めているそうです。ゴールドマンサックス社の2025年におけるVRユースケース予測によるとVRの活用市場は多岐にわたり、現在盛り上がりつつあるゲーム市場・エンターテイメント分野を始め医療系ヘルスケア分野や産業分野、小売市場など様々な業界で目にすることになりそうです。

VRは脳をどう変えるか?仮想現実の心理学」という書籍では、以下のようなことが述べられていました。市場が大きく成長しているだけでなく、人類にとっても新しい技術、新しい道具ができつつあり、当社でも各種システム開発を進めています。
・VR内での体験を、脳は現実の出来事として扱ってしまう
・VR内で第三の腕を生やしたり、動物の身体に〝移転〟しても、脳はすぐさまその変化に適応し、新たな身体を使いこなす
・イラク戦争後、〝バーチャル・イラク〟を体験するVR療法により、PTSDに苦しんでいた二〇〇〇人以上の元兵士が回復した
・VRで一人称視点の暴力ゲームをプレイすると、相手が仮想人間だとわかっていても生々しい罪悪感を覚える
・仮想世界で一日過ごすと現実と非現実の違いがわからなくなる
・VRユーザーの身体や視線の細かな動きは、正確にデータ化できる
・そこからその人の精神状態、感情、自己認識がダイレクトに読み取れる

メタバースやARクラウドへの拡張

2016年あたりからVRのブームが到来していますが、最近になるまではハードウェアとしてのヘッドマウントディスプレイと、そこで動作する主にスタンドアロンのアプリケーションの開発が主流だったように感じています。それは、まずは手元で動作するデバイスがなければ始まらないということかと思いますが、2020年頃より各製品が必要最低限の技術的仕様を満たすようになり、複数人ユーザが同時に仮想空間内に入り、そこでコミュニケーションを行うVRメタバースや、MRヘッドマウントディスプレイを屋外で使う際に必要になってくる技術であるARクラウドなどの研究開発も進んできました。ハードウェアがクラウドと連携することで、ますますVR、AR、MRの可能性が広がっています。

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