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XR Health Care / XR Medical / Brain Tech

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ヘルスケア分野における拡張現実技術

ヘルスケア分野において、拡張現実(Extended Reality、以下XR)技術の導入が急速に進んでいます。
XR技術は、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、混合現実(MR)などを含み、これらを活用することで医療や健康管理に新たな次元をもたらしています。

XR技術がヘルスケアにもたらす利点

1.治療の個別化と効果的なトレーニング

XR技術は、患者にとって治療をより個別化し、適応性のあるトレーニングを提供することが可能です。
例えば、VRを使用したリハビリテーションプログラムは、患者がリアルなシナリオで活動し、自身の進捗をモニターすることができます。
これにより、患者のモチベーション向上や治療の効果の最大化が期待されます。

2.医師のトレーニングと手術支援

医師や医療スタッフもXR技術を活用し、リアルなシミュレーションを通じて手術の練習や診断のトレーニングを行うことができます。
これにより、医療プロフェッショナルのスキル向上やリスクの軽減が期待され、患者への安全な医療提供が可能となります。

3.リモートヘルスケアの進化

XR技術はリモートヘルスケアの向上にも寄与しています。
患者が自宅でARやVRを使用して医師との仮想診療を行うことができ、定期的なモニタリングや医療相談が円滑に行えます。これにより、地理的な制約を乗り越えたヘルスケアが可能となります。

将来像

1.バーチャルヘルスケアエクスペリエンス

将来的には、XR技術を駆使したバーチャルヘルスケアエクスペリエンスが一般的となるでしょう。
患者は仮想空間で医療プロフェッショナルと対話し、治療や健康状態の管理を行うことができます。
これにより、医療サービスのアクセス性が向上し、患者体験が向上することが期待されます。

2.ヘルスケアデータの可視化と分析

XR技術を応用したデータの可視化と分析が進むことで、医療従事者は患者の状態をより詳細かつ直感的に把握することが可能となります。
これにより、早期の疾患診断や効果的な治療プランの立案が容易になるでしょう。

3.XRと他のテクノロジーとの統合

将来的には、XR技術が人工知能(AI)、モバイルテクノロジー、センサーテクノロジーと統合され、より効果的かつ効率的なヘルスケアソリューションが提供されることが期待されます。

XR技術はヘルスケア分野において大きな変革をもたらし、患者と医療プロフェッショナルの両方に利益をもたらすポテンシャルを秘めています。
将来的な発展に期待が寄せられるなか、技術と倫理のバランスを保ちつつ、持続可能なヘルスケア未来の構築が求められます。

今後の課題と対応策

1.プライバシーとセキュリティの問題

XR技術の普及に伴い、患者データのプライバシーとセキュリティが懸念されています。
今後は、厳格な規制と技術的対策によって、患者情報の安全性を確保する必要があります。

2.テクノロジーへのアクセス格差

一部の地域や社会階層では、XR技術へのアクセスが制限されている可能性があります。
アクセス格差を解消し、包括的なヘルスケア提供を実現するために、普及策や教育プログラムの強化が必要となります。

事例

VR技術を用いたがん患者さん向けピアサポート

ピアサポート イメージ画像

東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部・部長 住谷昌彦准教授との共同研究で、VR技術を用いたがん患者さん向けピアサポート・遠隔フィットネスシステムの実証実験を実施しました。

医療現場において同じ病気を経験する患者さん同士で悩みや不安を共有し、その後の人生を前向きに送る知恵や情報を共有しながらお互いに支え合う「ピアサポート」。昨今の新型コロナウィルス感染症の蔓延により対面ではなく、SNSなどインターネット上での機会が増えました。しかし、SNSなどでは対面型に比べて患者さん同士の交流が希薄になりがちで、またヨガや体操などの体験型プログラムは実施できず物足りなさを指摘する声も聞かれました。

そこでVR技術を駆使することで、遠隔的な参加でありながら、あたかも対面しているかのような錯覚を与えつつ匿名性を担保した交流を可能とし、さらに運動体験まで可能な仮想空間の開発を進めています。

医師向けHIV通知トレーニングのVR診察室アプリ

VR技術を用いた、HIV通知のトレーニングを行うアプリを開発しました。

日本ではHIV検査の割合が低く、医師側も検査を行い結果を告知する経験が不足していることによる積極的な検査機会の推進を行うことができていない現状があり、さらに、PLWHA(People Living with HIV/AIDS)は都市圏に患者が集中しているため都市圏以外ではなかなか診療の機会を得ることができない現状があります。

「医師にHIVスクリーニング結果通知のトレーニングを受けてもらうこと」と「地域アクセス格差無くすこと」を目的にアプリ開発を行いました。
アプリ内では、「HIVの通知をする医師」と「模擬患者」に別れて遠隔に診察を進めていきます。
本アプリを活用することで、「医療者側のHIV検査への敷居を低く」し、HIVの検査を患者さんに勧める場合の状況に慣れ、HIVスクリーニング検査結果の説明の仕方、適切な医療へのつなぎ方、啓発方法について慣れてもらう試みを進めています。

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